「いいサービスを作れば、お客様は集まる。」
新規事業では、そう考えたくなるものです。
しかし実際に事業を立ち上げる現場では、サービスの質だけで集客が成功することはほとんどありません。
私自身、着物レンタル・ウエディング事業を展開する企業で、新規予約事業の立ち上げに携わり、スマートフォン対応の予約システムをゼロから企画・構築しました。
結果として、年間約1,000件の予約獲得につながりましたが、この経験から強く感じたのは、成果を左右したのはサービスそのものではなく、顧客導線の設計だったということです。
中小企業診断士として企業をご支援する中でも、新規事業が伸び悩む原因を整理すると、サービスそのものではなく、「お客様が知ってから利用するまでの流れ」が設計されていないケースを数多く見かけます。
新規事業は「サービス設計」と「集客設計」を同時に考える必要がある
新規事業では、
サービスが完成してから集客を考えよう。
となりがちです。
しかし実際には、
サービス設計と集客設計は同時に進める必要があります。
どんなに良いサービスでも、
存在を知ってもらえず、
利用方法が分からず、
途中で離脱してしまえば、
売上にはつながりません。
診断士として考えると、
サービスは経営資源の一つであり、
顧客導線も同じく重要な経営資源です。
私が最初に設計したのは「予約までの流れ」だった
当時の業界では、
電話予約が当たり前でした。
営業時間内しか予約できず、
「電話をかける」
という心理的ハードルもありました。
そこでまず考えたのは、
どうすれば最も少ない操作で予約まで進めるか。
ということでした。
スマートフォンから数ステップで予約できる仕組みを整えた結果、
途中離脱は大きく減少しました。
システムを作ったことではなく、
顧客体験を設計したこと
が成果につながったのだと考えています。
集客は「接点」ではなく「導線」で考える
企業をご支援する中でも感じるのは、
集客を、
SEO、
広告、
SNS、
という手段で考えてしまう会社が多いことです。
しかし経営視点では、
重要なのは手段ではありません。
お客様が
知る
↓
興味を持つ
↓
比較する
↓
申し込む
という一連の流れです。
この流れが設計されていれば、
広告でも、
SEOでも、
紹介でも機能します。
逆に導線がなければ、
どれだけ広告費を使っても成果は安定しません。
オンラインだけでは完結しない
予約システムを作った当時も、
Webだけで完結させようとは考えませんでした。
店舗、
パンフレット、
接客、
電話。
オンラインとオフラインを一つの顧客体験として設計しました。
特に着物やウエディングのように、
体験価値が大きいサービスでは、
リアルの接点がブランドそのものになります。
現在でも、
BtoB企業では同じことが言えます。
ホームページだけではなく、
営業、
セミナー、
紹介、
展示会。
これらを一つの導線として考えることが重要です。
「完成させる」より「改善し続ける」
予約システムも、
最初から完成形だったわけではありません。
まず最低限の形でリリースし、
予約率、
離脱率、
利用状況を見ながら改善を続けました。
新規事業では、
仮説よりも実データの方が多くを教えてくれます。
だからこそ、
重要なのは完成度ではなく、
改善できる状態でスタートすることです。
年間1,000件という数字の意味
年間1,000件という数字は、
一度の広告施策だけでは実現できません。
継続的に予約が入り続ける仕組みを作れたことに意味があります。
新規事業は、
「集客する」
仕事ではなく、
集客できる仕組みを作る仕事なのです。
診断士として感じる、新規事業で最も多い課題
企業をご支援していると、
新規事業で成果が出ない原因は、
サービスそのものではないことが多くあります。
- 誰に届けるのか曖昧
- 問い合わせまでの導線が長い
- 数字を見て改善していない
- 集客施策だけが先行している
これらを整理すると、
課題はマーケティングではなく、
事業設計そのものにあるケースも少なくありません。
まとめ
新規事業の集客は、
広告やSEOから始まるものではありません。
まず必要なのは、
お客様が知ってから申し込むまでの導線を設計することです。
サービス設計と集客設計は、切り離して考えることはできません。
中小企業診断士としても、新規事業をご支援する際は、サービスそのものだけでなく、事業全体の導線や収益構造まで含めて整理することを大切にしています。


