「ターゲットは絞るほど良い。」
マーケティングではよく聞く考え方です。しかし、中小企業の経営支援をしていると、この言葉を誤って解釈し、本来獲得できるはずだった市場を自ら手放してしまっている企業に出会うことがあります。
ターゲティングとは、市場を狭めることではありません。
限られた経営資源を、どの市場に集中させるかという経営判断です。
だからこそ、ターゲット設定はマーケティング部門だけではなく、経営者自身が考えるべきテーマでもあります。
「誰に売るか」は、経営戦略そのもの
中小企業は、大企業のように豊富な人材や広告予算を持っているわけではありません。
だからこそ重要なのは、
「売れる相手」ではなく、「勝てる市場」を選ぶことです。
例えば、
・競合が少ない市場なのか
・自社の強みが発揮できる市場なのか
・利益率を確保できる顧客なのか
こうした視点で市場を見ることが、経営戦略になります。
ターゲティングとは、広告設定ではなく、市場選択なのです。
「理想の顧客」を追いかけていないか
支援先でよくあるのが、
ペルソナは非常に細かく設定されているものの、
実際の顧客分析が行われていないケースです。
本当に見るべきなのは、
「想定した顧客」ではありません。
利益を生み出している顧客は誰なのか
です。
診断士として最初に確認するのも、
売上ではなく、
顧客構成です。
利益率が高いのは誰か。
リピートしているのは誰か。
紹介してくれるのは誰か。
実態を見ると、経営者の想定と違うことは珍しくありません。
市場は変わる。だからターゲットも変わる
創業時には正しかった市場が、
5年後も最適とは限りません。
市場環境
競合
顧客ニーズ
自社の強み
これらは常に変化しています。
それにもかかわらず、
創業当時のターゲット設定をそのまま使い続けている企業は少なくありません。
経営計画を見直すように、
ターゲットも定期的に見直す必要があります。
「絞る」より、「優先順位を決める」
ターゲット設定で重要なのは、
市場を狭くすることではありません。
例えば、
コアターゲットは明確にする。
一方で、
周辺市場への可能性は残しておく。
つまり、
「選ぶ」と「捨てる」を完全に一致させないことです。
中小企業は、一つの市場だけに依存すると環境変化の影響を受けやすくなります。
だからこそ、
経営資源は集中させながらも、市場を見る視野は広く持つ。
このバランスが重要です。
診断士が見るのは「広告」ではなく「市場」
マーケティング支援というと、
広告やSNSをイメージされることが少なくありません。
しかし、私が支援の中で最も時間をかけるのは、
「どこへ売るか」
を整理することです。
・本当に狙うべき市場はどこか
・利益を生む顧客は誰か
・競争しやすい市場はあるか
・今の強みは、別の市場でも活かせないか
ここが決まると、
商品開発も、
営業も、
広告も、
採用も、
すべての判断に一貫性が生まれます。
逆に、市場選択を誤ると、どれだけ広告費をかけても成果は安定しません。
まとめ
ターゲット設定は、広告のテクニックではありません。
限られた経営資源を、どこへ投下するかを決める経営判断です。
「ターゲットを絞れているか」ではなく、
「本当に選ぶべき市場を選べているか」
この視点で見直すことで、新しい成長機会が見えてくることがあります。
事業計画や市場分析、顧客分析を含めて整理したい場合は、中小企業診断士として経営全体の視点からお手伝いしています。


